人間アレルギー(短編小説バージョン)/月夜乃海花
名を送ってしまった。もう何も考えたくなかった。
「わかった。ありがとう。今度行くから、待ってて欲しい。」
そこでメッセージは途切れた。
ずっと同じ音と同じ景色が続く。あれから何週間経っただろうか。友人からも連絡はない。SNSでの友人のやり取りも飽きてしまった。この時点で人生全てが今までの中で1番嫌になっていた。食欲も無く、痩せていった。
目を閉じて眠っていた時、突然視界が明るくなった。目を開くとそこには友人が居た。
「久しぶり。よく頑張ったな。」
そっと、頭を撫でられた。
アレルギー性のものなのか、感情によるものなのかわからない涙が止まらなくなった。
「もう大丈夫だから。」
涙は止まらない。でも皮膚は痒くならない。何ヶ月ぶりに渡って、人の温もりを感じた。
「ありがと、う。」
私はまた眠りについた。気づけば友人は居なくなっていた。夢かと思ったが手書きのメモでまた何日に来るとだけ書いてあった。あの温もりは気のせいでは無かった。もう一度、人生をやり直せるかもしれない。私はまだこの世界に居ても良いのかもしれない。黒い世界ににほんの微かな光が見えた。
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