野積海水浴場/山人
 
る。 
 表参道登山道からの登山道も平日で天気も良くない事から、数人行き会ったのみであった。山頂手前九合目までロープウエーが運行され、それを利用して来たのであろうか、普段着で傘をさした夫人が山頂を後にし帰っていった。弥彦山には幾度と登っているが、山頂の鳥居前に人がいなかった記憶はなかった。賽銭箱に百円を投げ込み合掌した。人の視線を感じることもなく、多くを願った。
 一時間三十五分の軽登山であったが、まったく休むことなく登り、かなり汗をかいてしまった。下山中の山道で、上半身裸になりすべて着替えた。湿気が絡みつく感覚は失せ、いくぶん皮膚と肌着が触れ合う感触が心地よい。下山は帰り道ではあるが、ゴールへと向かう登山でもある。
 車のエンジンをかけ、降り始めた雨にワイパーを作動させる。車は私の行かんとするところへ向かうはずだ。何だってそうだ。行こうとするところに素直に行けばいい。普通に。なりふり構わず。
戻る   Point(4)