野積海水浴場/山人
期で賑わうコースだ。幾分マイナーなコースではあるが、旬のユキワリソウ(オオミスミソウ)を求めて人があふれる。今は初冬で、草木の葉もなく、いたるところが黒や茶色といった味気ない風景が続く山道だ。そして肌寒い曇り空で、予報は時々雨。登山者は誰も居なく、一時間強歩き尾根にようやく取りついた。尾根をしばらく登ると、冬季以外は山頂直下まで車で行ける弥彦スカイラインに飛び出た。観光地の登山道には途中で車道に出ることが少なくない。車の通らない、車道をスパイク長靴だけがザリッザリッと音を立てている。単独で山を歩くことを楽しむというロマンはない。ただ、自身の生を確認し、その鼓動や息づかいを味わうということにつきる。
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