S氏の記録(短編小説)/月夜乃海花
 
「人の顔がのっぺらぼうなんです。それに気づいたのは3日前か、1週間前か、いやそんなことはどうでも良いんです。だから、人の顔が何も無いんです。まず、顔が無いと気づいたのは友人Sと会ったときのことです。いつものように通知が来てたので、また金でもせがまれるのかと考えながら、公園に向かったんです。はぁ。公園に向かう最中に他の人の顔は見なかったのか、と?こっちは自転車を漕いで必死だったんですよ。なんせ、脅し文句までつけて『あと1時間以内に来なかったら、俺は死ぬ』とかまた言ってるんですから。あいつ、本当にやるときはやるんですよ。あ、そう、あいつが病院に入ったときの話しましたっけ?今は良いですか?そうですか。自
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