詩の日めくり 二〇一四年十月一日─三十一日/田中宏輔
 
びても、繁殖は生き残る
右半分が無意識で、左半分が繁殖

閉口ともなるとも午後とはなるなかれ。

いま言語における自由度というものに興味がある。
美しいヴィジョンを形成した瞬間に
そのヴィジョンを破壊するところに行ければいいと思う。

二〇一四年十月二十九日 「卵」

終日
頭がぼんやりとして
何をしているのか記憶していないことがよくある
河原町で、ふと気がつくと
時計屋の飾り窓に置かれている時計の時間が
みんな違っていることを不思議に思っていた自分に
はっとしたことがある

きょう
ジュンク堂で
ふと気がつくと
一個の卵を

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