詩の日めくり 二〇一四年十月一日─三十一日/田中宏輔
その訳本は贋物です。先日購入しました、浪速書房刊のウイリヤム・バローズ作、清水正二郎訳の「裸の審判」の第一章の3行目から4行目の文章とまるっきり同じです。本物のウィリアム・バロウズの作品には、そのような文章はありません。きっとその本の最後のページには、次の文章が終わりにあるのではないでしょうか。「そしていざというときは、鞭という、柔らかい機械が二人を結びつけるだろう。/いま、二人に聞こえるものは、路上にきしる、濡れたタイヤの連続音と、彼らの廻りに、うなりを上げている。雨の叫びだけであった。」 それでも、小生はマニアなので、購入したいと思っております。
ちなみに、引用された所からあとの文章
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