詩の日めくり 二〇一四年十月一日─三十一日/田中宏輔
だ。
詩は息を与える。
死者にさえ、息を与えるのだ。
逃げ道はない。
生きている限りはね。
勝ちゃん
胸が張り裂けちゃうよ。
龍は夢で
あとは鳩バス。
二〇一四年十月十一日 「音」
その音は
テーブルの上からころげ落ちると
部屋の隅にむかって走り
いったん立ちどまって
ブンとふくれると
大きな音になって
部屋の隅から隅へところがりはじめ
どんどん大きくなって
頭ぐらいの大きさになって
ぼくの顔にむかって
飛びかかってきた
二〇一四年十月十二日 「音」
左手から右手へ
右手から左手に音をうつす
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