詩の日めくり 二〇一四年十月一日─三十一日/田中宏輔
 

まっさらの卵があった
安くなると
ついつい買ってくる癖があって
最近ぼけてきたから
いつ買ったのかもわからなくて
困ったわ

二〇一四年十月九日 「部屋」

股ずれを起こしたドアノブ。
ため息をつく鍵穴。
わたしを中心にぐるっと回転する部屋
鍵束から外れた1本の鍵がくすって笑う。
カーテンの隙間から滑り込む斜光のなかを
浮遊する無数の鍵穴たちと鍵たち
部屋が
祈る形をとりながら
わたしに凝縮する。

二〇一四年十月十日 「きょうも日知庵でヨッパ」

でも
なんだかむかついて

帰りは
西院の「印」という立
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