つばめ/草野大悟2
朝もやのおもみで
水面までおわれた
口をなくしたカゲロウたちの叫びを
なきだしそうなそら見上げながら
すくい取っている。
かたわらに ひとり
片足で立つ刻の守人は、
つばめよ、
今、あなたの目にどのように映るのだろうか。
たおやかに、ときに、きぜわしく
大空をうつろう風が
いつのまにかおとなの顔をして
目をそらしながら吹きすぎる。
朝もやも川もカゲロウも 守人も空も
ため息ではない あきらめでもない静けさを吐きながら、幻の光をもとめて老いてゆく。
……「遊びたいのかな、とおもって」…
ひとのきもちばかりを気にかけて、
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