呼吸/塗絵 祐作
 

粘り気のある幸せが、
柔らかな布のようになって
わたしの首を優しくしめる。

残りわずかな不幸せが、
泡のように口から漏れ
ひとつ、またひとつと浮いてゆく。

いよいよ息苦しくなって
粉のような微かな泡さえ消えると、
わたしの日常がそこで終わる。

それをまた繰り返し、
それにまた呼吸と名前を付ける。
苦しみを、また、吸って、吐く。


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