詩の日めくり 二〇一四年九月一日─三十一日/田中宏輔
 
ころ、しょうゆと砂糖で甘辛くすると、そうそうまずい食べ物はつくれないはずなのであって、まあ、味はよかったのだ。二人はその立ち飲み屋に行く前に、西大路五条の角にある大國屋で紙パックの日本酒を買って、バス停のベンチのうえに坐りながら、チョコレートをあてにして飲んでいたのであるが、西院の立ち飲み屋では、二人とも生ビールを飲んでいた。にんにく炒めというのがあって、200円だったかな、どんなものか食べたことがなかったので、店員に言ったら、店員はにんにくをひと房取り出して、ようじで、ぶすぶすと穴をあけていき、それを油の中に入れて、そのまま揚げたのである。揚がったにんにくの房の上から塩と胡椒をふりかけると、二人
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