詩の日めくり 二〇一四年九月一日─三十一日/田中宏輔
ら、目の前をバカボンのパパみたいな顔をしたサラリーマン風のひとが、まあ、40歳くらいかな。そのひとがセルフサービスの水をグラスに入れるために、ぼくの目の前を通って、それから戻って、ぼくの隣の隣のテーブルでまた本を読み出したのだけれど、その表紙にあったタイトルを見て、へえ? って思ったんだよね。『完全犯罪』ってタイトルの小説で、小林泰三って作者のものだったかな。写真の表紙なんだけど、単行本だろうね。タイトルが、わりと大きめに書かれてあって、ぼくの読んでたのが、P・D・ジェイムズの『ある殺意』だったから、なんだかなあって思ったんだよね。隣に坐ってたおばさんの文庫本には、書店でかけられた紙のカバーがかか
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