詩の日めくり 二〇一四年九月一日─三十一日/田中宏輔
 
は21才と22才だった。夢中で好きになること。好き過ぎて泣けてしまったのは20代で、しかもただ一度きりだった。ぼくが29才の誕生日をむかえて何日もたってなかったと思うけど、そんな日に、ノブユキから、「ごめんね。別れたい。」と言われた。アメリカからの電話でだった。どうやら、むこうで新しい恋人ができたかららしい。「その新しい恋人と、ぼくとじゃ、なにが違うの?」って聞くと、「齢かな。ぼくと同い年なんだ。」との返事。そのときには涙は出なかった。齢のことなら、仕方ないよなって思った。「いいよ。それできみが幸せなら。」そう返事した。涙が出たのは、別れたんだと思って、いろいろ思い出して、三日後。好きすぎて泣けて
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