詩の日めくり 二〇一四年九月一日─三十一日/田中宏輔
しかけた青年に、初体験の相手のことを訊いたら、「犬だよ。」と答えたので、「冗談?」って言うと、首をふるから、びっくりして、それ以上、話をするのをやめたことがあるけど、いまだったら、じっくり聞いて、あとでそのことを詩に書くのに、もったいないことをした。ちょっとやんちゃな感じだったけど、体格もよくって、顔もかわいらしくて、好青年って感じだったけど、犬が初体験の相手だというのには、ほんとにびっくりした。ぼくは性愛の対象としては人間にしか興味がないので、他の動物を性欲の対象にしているひとの気持ちがわからないけれど、まあ、人間より犬のほうが好きってひとがいても、ぼくには関係ないから、どうでもいいか。えっ、で
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