空論のカップに口を付ける冬の横顔/ただのみきや
方へ
異なる軌道を描いてすれ違う
弾力を持った小さな惑星たち
盗み見て面はゆく
平然と心にはサングラス
わたしはなにも守れないだろう
なにかと刺し違えることもできないのだろう
一生自分の憂鬱とセックスして
蛭児のような言葉を生み続ける
それに酔いすらしている
枯葉が敷き詰められている
瞳はあてどなく盲人の手探りで
わだかまった時の玩具を
生の色濃さを保つ死の隠喩を
自らに処方する宝石を
太古の涙であり
鳥の糞であり
不埒な音を孵して白く濁る
美しい狂女の姿態を
生まれる前に失くした舌を
《2020年11月29日》
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