ズキズキとココロが痛んで/こたきひろし
 
家に帰ろう
そして続けて言いました。子供は家であたしがみてるから、あなた一人で行ってきてよ

ほとんど実家に帰らない私は疎遠の親子関係になってました。
それと言うのも妻が自分の実家を優先し、帰りたがらなかったからでした。
 あんな周りに何もない山のなかになんて行きたくない
と言うのが口癖でした。
やさしさでしか取り繕えない私はいつだって他者に決定権を奪われてしまうか譲ってしまう優柔不断の男でした。
妻の言葉を結果的に飲むしかありませんでした。

それが亡くなった母親に対して一生の負い目にもなっていました。

恥ずかしながら、私は泣くしかくのない男だったのです。


戻る   Point(4)