命焔屋 〜蝋燭の焔の魂〜(短編小説)/月夜乃海花
 
尾を振り始めた。
「ほぉ、ここに人間以外が来るのは久々じゃのぉ。」
老人は謎の頷きを示している。
「えっと、僕はユウキ、湧いてくる生と書いてユウキと言います。」
相手に名前を聞いて、自分の名前を聞かないのも申し訳ないので先に名乗ることにした。
「ワシは命焔屋じゃよ。」
「え?」
「命焔(メイエン)屋じゃ。」
「めいえんや?」
「話すよりもこれを見た方が早いかの。」
老人は着ているローブの陰からランプを取り出した。実際はランプのようなものに蝋燭の焔がゆらゆらと灯っていた。
「これはお主の魂じゃよ。」
「へっ?」
ランプの中の焔はゆらゆらと揺れている。まるで普通の蝋燭のランプ
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