命焔屋 〜蝋燭の焔の魂〜(短編小説)/月夜乃海花
雨の日、空は黒く何もかもが黒に追い詰められて、僕自身も追い詰められていた。
「早くしないと」
腕には小さな子犬が弱々しく、息をしていた。
吸って吐いて。その単純な息さえも聞き取れそうになかった。
「もうすぐだからな!」
少年は走り続ける。
学校帰りに段ボールに入った子犬たちを見つけた4匹ほど居たがそのうち1匹だけ微かに動いており、他の犬は冷え切っていた。
「早く、早く!」
少年は走り続ける。目の前が赤信号であることも気づかずに。そして、気づけば目の前には乗用車が、乗用車の運転手が今までに見たこともない顔をしてこちらを見ていた。
間もなく、車と肉の衝突音が聞こえた。
目の前が赤か
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