命焔屋 〜蝋燭の焔の魂〜(短編小説)/月夜乃海花
えも救えなかった。
「そんなに悲しい顔をするでない。子犬も可哀想じゃ。そやつはお主といると喜んでおるぞ。」
子犬を見るとあんなに弱っていたはずなのに目が開いてきちんと四つ足で歩いている。尻尾を振り、じゃれ付いてきた。
「ばふっ!」
子犬は甘噛みをしている。こいつ、随分と本当はやんちゃなやつだったのかと今更気付く。
「元気ですね。」
「お主が子犬を救ったんじゃ。」
「そうなんですね。よかった。」
「そういえば、腹は空かんか?ちょうど晩飯の時間じゃて。きちんと用意してあるからの。お主も食べるか?」
全く気づかなかったがそういえば空腹だった。まるで生きているみたいだ。なのに、死んでいる
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