詩の日めくり 二〇一四年八月一日─三十一日/田中宏輔
 
は、徐々に手のひらを上げて、その温度の違いを確かめていったのだから。水面近くになってやっと了解したのだった。水の温みは太陽光線による放射熱であって、直射日光の熱であったのだった。すばやく移動しているはずの水面近くの日に当たっているところと影になって日に当たっていないところの温度は、太陽光線の放射熱のせいでまったく違っていたのだった。いまでも顔がほころぶ。当時のぼくの顔もほころんでいたに違いない。40年以上もむかしのことなのに、きのうしゃがんでいたことのように、はっきりと覚えている。あっ、あの行事の名前、鴨川納涼祭りだったかな。それとも、鴨川の魚祭りだったかな。両方とも違ってたりして。

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