詩の日めくり 二〇一四年八月一日─三十一日/田中宏輔
 
通り過ぎる。3つの喉が、ぼくを炎の道に歩ませる。ほら、偶然に擬態したウォッカが、ぼくの言葉を火の色に染め上げる。さあ、ぼくである3人の証人たちよ。火のなかをくぐれ。3つの喉が、炎のなかを通り過ぎる。ジリジリと喉の焼き焦げる音がする。ジリジリと魂の焼き焦げる音がする。ジリジリと喉の焼き焦げるにおいがしないか。ジリジリと魂の焼き焦げるにおいがしないか。ジリジリと、ジリジリとしないか、魂は。恋人からのプレゼントが、炎の通る道を、ぼくの喉のなかに開いてくれた。偶然のつくる火の道だ。魂のジリジリと焼き焦げる味がする。あまい酒だ。偶然がもたらせた火の道だ。ほら、ジリジリと魂の焼き焦げるにおいがしないか。My
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