詩の日めくり 二〇一四年八月一日─三十一日/田中宏輔
 
うための伏線なのだった。きょうデートしたんだけど、間違った待ち合わせ場所を教えて、ちょっと待たしてしまった。「放置プレイやと思って、おれ興奮して待っとったんですよ。」って言われた。ぼくの住んでるところの近く、ゲイの待ち合わせが多くて、よくゲイのカップルを見る。西大路五条の角の交差点前。身体を持ち上げて横にしてあげたら、すごく喜んでた。「うわ、すごい。おれ、夢中になりそうや。もっとわがまま言うて、ええですか?」「かまへんで。」「口うつしで、水ください。」ぼくは、生まれてはじめて、自分の口に含んだ水をひとの口のなかに落として入れた。そだ、水を飲んで寝なきゃ。「彼女、いるんですか?」「自分がバイやからっ
[次のページ]
戻る   Point(16)