詩の日めくり 二〇一四年八月一日─三十一日/田中宏輔
おれなんか、ちゃろいですか?」「かわいい顔してなに言ってるんや。」「なんでそんな目で見るんですか?」。「なんでそんな目で見るんですか?」いったい、どんな目で見ていたんだろう。そういえば、付き合った子にはよく言われたな。ぼくには、どんな目か、自分ではわからないのだけれど。よく、どこ見てるの、とも言われたなあ。ぼくには、どこ見てるのか、自分でもわからなかったのだけれど。「人間であることは、たいへんむずかしい」(サルトル『嘔吐』白井浩司訳)「人間であることはじつに困難だよ、」(マルロー『希望』第二編・第一部・7、小松 清訳)「「困難なことが魅力的なのは」とチョークは言った。「それが世界の意味をがらりと変
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