詩の日めくり 二〇一四年八月一日─三十一日/田中宏輔
男は、ぼくのものをしまいながら、そう言うと、出てきた方とは反対側にある樹の蔭に向かって歩き去って行った。
二〇一四年八月二十六日 「無意味の意味」
「芸術において当然栄誉に値するものは、何はさておき勇気である。」(バルザック『従妹ベット』二一、清水 亮訳)たくさんの手が出るおにぎり弁当がコンビニで新発売されるらしい。こわくて、よう手ぇ出されへんわと思った。きゅうに頭が痛くなって、どしたんやろうと思って手を額にあてたら熱が出てた。ノブユキも、ときどき熱が出るって言ってた。20年以上もむかしの話だけど。むかし、ぼくの詩をよく読んで批評してくれた友だちの言葉を思い出した。ジミーちゃんの
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