詩の日めくり 二〇一四年八月一日─三十一日/田中宏輔
の姿は滑稽だった。
従弟妹たちを裸にすると、水に返してやった。死んだ父は、夜の打ち網が趣味だった。よくついて行かされた。いやいやだったのだが、父のことが怖くて、ぼくには拒めなかった。岸辺で待っているあいだ、ぼくは魚籠(びく)のなかに手を突っ込み、父が獲った魚たちを取り出して遊んだ。剥がした鱗を、手の甲にまぶし、月の光に照らして眺めていた。
気配がしたので振り返った。足の群れが、すぐそばにまで来ていた。踏みつけると、籤(ひご)細工のように、ポキポキ折れていった。
二〇一四年八月二十四日 「新しい意味」
赤言葉、青言葉、黄言葉。赤言葉、青言葉、黄言葉。赤言葉、
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