詩の日めくり 二〇一四年八月一日─三十一日/田中宏輔
イクスピアもずいぶんとえげつない詩を書いていたが、ジョン・ダンのものがいちばんえげつないような気がする。
二〇一四年八月三日 「100人のダリが曲がっている。」
中庭でベンチに腰掛けながら、ジョン・ダンの詩集を読んでいると、小さい虫がページのうえに、で、無造作に手ではらったら、簡単につぶれて、ページにしみがついてしまって、で、すぐに部屋に戻って、消しゴムで消そうとしたら、インクがかすれて、文字までかすれて、泣きそうになった、買いなおそうかなあ、めっちゃ腹が立つ。虫に、いや、自分自身に、いや、虫と自分自身に。おぼえておかなきゃいけないね、虫が簡単につぶれてしまうってこと。それに、なにを
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