詩の日めくり 二〇一四年八月一日─三十一日/田中宏輔
人組がぺちゃくちゃしゃべりながら、ぼくの前から近づいてきた。ぼくは、人の顔があまり記憶できない性質なので、もう覚えていないのだけれど、というのも、ちらりと見ただけで、もうケッコウという感じだったからなんだけど、ぼくに近い方、道の真ん中を歩いてた方の女性が、ぼくの出っ張ったお腹を見ながら、「やせなあかんわ。」と言いよったのだった。オドリャ、と思ったのだけれど、まあ、ええわ。人間は他人を見て、自分のことを振り返るんやからと思って、チェッと思いながらも、そのままやりすごしたのだけれど、ほんと、人間というものは、他人を見て、自分のことを思い出してしまうんやなあと、つくづく思った。パン屋さんに入って、BLT
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