眠り姫のシンデレラ/月夜乃海花
あれ?」
小さな少女が皺だらけの手に触れる
「パパの大事な人だよ」
「どうして眠ってるの?」
「見つけるのが遅かったんだ」
「じゃあ、起きないの?」
じっと男と少女は眠る姫、老婆を見つめていた
「今日でさよならなの?」
「そうかもしれないね」
「そっか」
少女は姫の横に白い花を
玩具の宝石とごっこ遊びのガラスの靴を
「わたしのたからものあげるね、しあわせになってね」
姫の周りはぬいぐるみと宝石
そしてガラスの靴で華やかになった
「もうお別れだね」
「うん、わかった」
男と少女はその後何も言わずに去って行った
ちょうど零時になりかけた頃
眠り姫は目を覚ました
すると男と少女が車の中で
泣いているのが見えた
眠り姫だったシンデレラ
ガラスの靴を履いて
目の前にある光の階段を登り続ける
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