眠り姫のシンデレラ/月夜乃海花
「どうか私を起こさないで」
最後に姫は言いました
「夢ではきっとあの人が助けてくれるわ」
姫の周りには沢山のぬいぐるみがいました
白い部屋に響く呼吸音
心拍数がぬいぐるみと仲良く歌い出す
独りで姫は夢を見る
右手に父、左手に母
手を繋いだあの日々を
誰も迎えに来ない病室に
男がぽつりと現れた
「貴方が僕の母ですか」
姫は眠り続けて夢を見る
かつて愛した人はとうの昔に消えたの
そんなことも忘れて眠りにつく
「もう、お別れは近いのでしょうか?」
息子の声は聞こえない
「もう、目を覚さないのですか?」
医者に問うても首を振る
「ねぇ、パパこの人だあれ
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