布団の中、布たちは詩う/月夜乃海花
 

そして、なぜか木の皮のイメージがあるのだ。
何か素材のような。

やっと気づいた。これは女ではなく、布の物語だと。
ある布は服として生まれたいと願った。
しかしその布はは雑巾、夜は布団として使われていた。
30年後、その布はアンティークものとして誰かに購入された。
そしてワンピースとして生まれ変わった。
最後見た女は少女のように見えた。
少女が着ている服が、最後何か言ったのだろう。
斜光の中の時計台で。

そういえばすぐそこの床にフリマサイトで買った
手作りのワンピースが置いてある。

そのワンピースはサイトの説明曰く
「自分で洋裁教室に通って創りました。」

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