夕/水宮うみ
この町を優しく照らす夕焼けも永遠ではない僕らといっしょ
僕の手はいつまでだって憶えてる夕陽みたいなあなたの体温
どこからかきこえるピアノにメロディを重ねるように口笛を吹く
夕方のニュースが告げる悲しみを拭い去るようにあなたが笑う
僕たちと一緒に夕陽を見に行こう理由などなくただ見に行こう
夕方が好きだ。どこからか子どもたちの笑い声が聞こえ、どこからかカラスの声が聞こえ、どこからか夕飯の匂いがしてくる。
近所に住む人たちみんな、家族になったような気分になる。こんなに仲間がいるんだから、何があってもへっちゃらだ。優しいオレンジ色の夕焼けが、僕らを確かに照らしてくれている。
戻る 編 削 Point(2)