Memory Trains?「迂回」/SDGs
一本で行けるならと私はその寝台特急に乗った。京都まで新幹線。京都発の寝台特急が大阪を通過するのは夜の11時頃か。寝台の上段だった私は目を覚ましていた。列車は冷え冷えと明るい無人の尼崎駅を通過した。そしてまもなく、急に右カーブを切った。私は見慣れない外の光景に目を凝らした。三田という駅があった。牧野という駅もあった。無論だれもいない。列車はゆっくりと通過していく。空を見上げれば満天の星。街全体が生産活動を収縮しているせいなのか、星だけがきれいだった。列車はその後、谷川で加古川線に入り、姫路に向かった。
福知山線に乗ったのはその一回の往復だけで、しばらくしてJR在来線が回復し、つづいて新幹線も復
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