ブナを植える/山人
 
 十一月十七日、前日まで杉林の除伐を行っていたのだが、その作業をいったん中断し、ブナの植え付け作業を開始した。あらかじめ秋口に植え付け面積を刈り払っておき、そこに一・五メートル間隔でブナの稚樹を植え付ける作業である。成長が活発でないこの時期が植え付けの適期だと聞いた。面積は二十五アールほどの箇所が二か所あり、一ヵ所目はかつて砂防工事が行われた盛り土痕の場所で、表面にはプラスチックの網が施されている。刈り払い後のヨシやススキが枯れたままそこに散らばり、灌木も殴り倒されたようにとどまっている。一・五メートルのスケールを持ち、大まかに長さをはかりながら唐鍬で植え付ける。唐鍬を振るうと、ほぼもれなく木の根
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