晩秋/おろはげめがね
 
病んだような落日の頃

サルバドール・ダリみたいな豊かな泡立ちの中でクロイツェルとガスパールを聴く

人生と同じように儚く舞い散る秋の葉
悲しみもこれくらい美しかったらいいのに

生きていた日々、幾重もの葉が積み重なり言葉と言葉が絡まり連なり乾いて硬くなる

さようなら淡い涙

さようなら盲目の私

さようなら叶わなかった恋

さようなら色彩を欠いた風景

風が光を帯びて、魂が北へ飛んで行く

空に突き出した柿の実が一つだけ赤く落ちた

鐘が鳴った

遠く遠くから

誰かが死んだ

そんな夕暮れに
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