過去の歌、散らばる道/ホロウ・シカエルボク
 

昨日の雨が水たまりのまま凍りついた海沿いの二車線は
曇り空の下で果てしなく寒々しく
わたしはブーツの滑り止めの具合を確かめてから
葬列の最後尾に着くみたいに歩いた
水平線は薄明りと虚無に飲み込まれていて
どれだけ歩いてもそんな曖昧な世界が
確かにずっと続いているだけだった
数十年前に潰れたコンビニの建物が
いまでもそのまま佇んでいる
何度かそこで買物をしたことがあった
ずっと煌めいていた
晴れの日が何日も続いていた頃に
こんな日には
堤防拡張工事の砂を運ぶダンプも
あまり砂を巻き上げずに通り過ぎていく

イヤホンで聞いているのはラジオ番組だった
どうしてみんな
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