書きたくても書けない腐れ物書きのひとりごと。/月夜乃海花
 
婚し、子供が産まれます。長男の名前は文也。中也は自分の息子の文也を自分と重ね合わせているように可愛がっていました。
しかし、文也はわずか2歳で病死します。それ以降、作品の雰囲気も変わっていきました。
中原中也自体も幻聴や幼児退行がひどくなったため精神科に入院しました。最終的に結核性の脳膜炎で中也は亡くなり、それを追うように次男の愛雅が亡くなりました。

この事実を知った上で中也の詩を改めて紹介します。

また来ん春

また来ん春と人は云ふ
しかし私は辛いのだ
春が来たつて何になろ
あの子が返つて来るぢやない

おもへば今年の五月には
おまへを抱いて動物園
象を見せても
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