エマルジョン/月夜乃海花
いつも僕らは分かり合えなかったね
まるで、水と油のようで
どちらかが泣いて
どちらかが怒って
涙と怒りは混ざることはなく
ただ何度も繰り返して
周りの人を困らせていたね
「似たもの同士ね」
なんて言われても
一瞬仲良くなっても
N極とS極は反発してしまうんだ
君はずっと遠くで僕を嗤って
僕はそれをただ止められずに
イカロスの羽根が溶けるのを
見下ろす八咫烏のように
太陽に見捨てられた僕らは同じだよ
水の中で油が叫んで
油の中で水は泣いた
きっと互いに苦しかったんだ
鏡に映る自分があまりにも憎くてさ
いつか互いに生まれ変わったら
いっそパスタのソースでも作ろうか
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