解離/ひだかたけし
 
お経が唱え続けられている
畳の広間に敷き詰められた純白の布団に寝ている人達
は皆、死んでいる

お経が唱え続けられている
畳の広間に敷き詰められた純白の布団に起きているのは
私独りだ

お経を唱え続けている
のは、
分厚い頬をした坊主だ
フライの鶏肉を
朝晩むしゃむしゃ食べている

私は離婚して独り暮らしを始めて以来
魚しか食べない
から、
無駄な肉は全部落ちた
けれど、
四歳の時に偶然開けた和式トイレのみなちゃんの白い尻たぶは
余りに鮮烈に眼に飛び込んで来たから
それ以来情慾の火だけは消えない

〈幼女と幼児が毎日繰り返す剥き出し裸体の抱擁愛撫

[次のページ]
戻る   Point(5)