エデン/道草次郎
 
るのだった
自分もそのうちの一人である
ぼくはこう呟いた
「あの女、自分にも旦那にもうんざりしてる。そして子供のことを愛している。俺はあの女を奴隷にして、あの女の魂を根こそぎ愛してやろうか。不倫とはこういう場合に発露するもんだろうか。どうかな。俺はもうEDだが。笑える話だなこりゃ」
うちに着くとママンが待っていた
ママンに遅くなったねとハグをするとママンは言った
「あの女は蛇よ。わたしらはイタリア人になったんだからカトリシズムの信奉者でいいんだわ」
なるほどとおもい、ぼくはこう言った
「そうだね、ぼくは詩人になる。イタリア人の詩人なら、あの蛇をエデンの園でなぶることだって、きっとできるだろう?」

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