純恋/おろはげめがね
 
綺麗な花を見たその眼で
私のことを見ないでください

そう言いながら
ふるえる骨で菫を拾う

きみは愛された死者だから
眼を閉じても会いに行けるし
白いハンカチが良く似合う

たった一瞬の瞬きさえ
きみの前では罪だ

それくらいきみは美しい

なのにきみは

綺麗な花を見たその眼で私のことを見ないでくださいという

小さな部屋で二人並んで座った

息が止まるくらいの永遠の末に

はじめてのキスをした

窓からはきめの細かい月が見えていた

それは二度目の初恋で

次の夜にはきみは他の誰かと眠るのだろう
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