極力、眼を現実から反らしたい/こたきひろし
 
どんなに辛い目にあっても
どんなに悲しい思いをさせられても

そこは大人だから
人前に弱音をはいたり
涙滲ませたり
できない

そんな事したら
見せかけの同情と裏に隠された
嘲笑を買わされるだけだからさ

人は他人が不幸になると自分と比較するだろ
そして噛みしめるのさ
良かった 私はそうならなくて と

立場がかわれば
それは私だって同じだから
責められはしないけれどさ

裕福な家には産まれてこれなかった
そのせいで
食べる
着る
住む
の生活は貧困そのものだった

そこには
生まれた時代の背景と
育った土地の環境が暗い陰を落としてもいた
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