栗のスープ/ふるる
診断の途中で帰って来た
そういう人でいっぱい
街は健康とは関係がなく
赤と緑の点滅が震える
やがて
白く凍る
胡桃もひとりでに落ちる
幼い君には重すぎる願いだろう
忘れないで欲しい
何かを
何であるかとたずねたこと
その疑問符
よくわからない人の形
いつしか、
秋は暮れきった
冬がまた始まる
君と同じくらいの頃は毎冬
バケツの水に張った丸い氷を外して
叩き割ってから学校へ行った
毎日だった
やらなくなったのはいつだか
何故だか
診断の結果に興味はない
目が年々しぼんでいくのは困る
そのうち閉じて枯れ落ちる
まぶたの
花びら
数少ない友人にとり残されて
残された日々
足りないものを埋めようとして歩いている人の側へ行く
誰もが無言だよと
誰かが言う
戻る 編 削 Point(8)