泡姫の記憶/板谷みきょう
の泡姫が出来て
いつも
「今日も
何にも
しなくて良いの?」と
股間を弄っては聞いてきた
「今度ウチに来なよ。」
そう言うと
大通西20丁目のマンション
801号室の住まいを
教えてくれた
泡姫は
インコを飼っていて
1LDKに住んでいた
暫くして
泡姫の仕事のない日には
そこで
ボクは過ごすようになってた
ある時
ドアチャイムが鳴って
泡姫が慌てて玄関から
ボクの靴を持って
ベランダに追いやった
チンピラが入って来て
出て行くまで
息を潜めて隠れてた
「もう大丈夫。」
泡姫がそう言って
ベランダから部屋に
戻してくれたけど
凄まじい程の恐怖に
泡姫の記憶は断片的
あの頃のボクは
絶望していたのだ
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