さよなら雪結晶/月夜乃海花
雪が綺麗なんて誰が言ったのだろう
こんなに廃ガスで汚れているのに
自然が美しいなんて誰が言ったのだろう
コンクリートジャングルを創った代償に
雪をスニーカーで踏みしめていた
「負けるもんか」と独り言を吐きながら
本当は氷水が染みて痛かったのに
本当は全部嫌だよ!と叫びたかったのに
それでも歩き続ける
汚い雪道を這いずって這いずって
雪は必死に息をする
どんなに汚されても形を変えて生き続ける
そしてその水はきっと自然に還り
また空から優しく差し伸べてくれるだろう
「私はどこに行けばいいのかな?」
ふわっと降りてきた雪結晶
訪ねても返事はなかった
どうか、さよなら雪結晶
小さく手のひらで消えていく
ふっ、と君の優しさが
ただ伝わってきた
それだけで十分だった
ゆーきやこんこん
あられやこんこん
誰かの歌声が聞こえる
また、会おうね
さよなら、ではなくてまたね
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