そして鍵の形はいつも同じではない/ホロウ・シカエルボク
 
それだけは誰に言われるでもなくはっきりとわかっている、だからこうしている、だからーこうしている、本当の意味でそこに何があるのかを知るには印象に頼ってはいけない、印象は始まりに過ぎない、それを足掛かりに、様々な分岐や、可能性について考える、あらゆる方向への思考が一段落ついたときに、初めておさまりのいい真実というのが生まれてくる、それが誰にとってどうかなんて考える必要はない、他人なんてすべて幻想に過ぎない、そうじゃなくては、器を持って生まれてくる意味などないはずじゃないか…勘違いしないでほしい、俺にはなにも遮断するつもりはない、そうした幻想共有して、面白がれる相手なら歓迎するよ、まあ、目に見えるものだけを見て悦に入ってる人間はご遠慮願うけどね…二、三時間話してみたって、こちらが得るものはなにもないからさーおや、と俺は気が付く、闇は次第に薄まり、見慣れた部屋の景色が薄明りの中にぼんやりと浮かんでいる、やれやれだ、と俺は毛布をかぶり直す、明日は下らない真似をしに出掛けなけりゃいけない、少し寝不足になるかもしれないが、だからって取り立てて困るようなことも別にないだろうー。


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