そして鍵の形はいつも同じではない/ホロウ・シカエルボク
無数の砂鉄が強烈な磁力に引かれある一点に群がるみたいに闇がひしめき合っていた、密度は増し続け、それは完全なる黒とでも呼べそうな、もはや重力と呼んでもかまわないようなそんな黒だった、俺は緩慢な瞬きのようにゆっくりと目を開いては閉じてを繰り返していた、闇はもう怖くなくなった、なにも見えていないわけではない、暗闇がはっきりと見えているのだー詭弁だというならそうかもしれない、でもそんなことを突き詰めてみたところでなんの意味もない、矢を射るのなら的に当てることを目標としなければいけない、無意味な逡巡はしない、ずいぶん前にそう決めていた、音楽が流れていた、コンピレーションアルバムだ、過去の音楽に最新型の衣
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