接地のための投下/道草次郎
は冬の木枯らしは身にしみます。へんに脛だけがスースーするようで、心が時々ダメになるのです。
けれども、やっぱりよいものはよいのは本当です。だから、そういう信仰があったら、ぼくは喜んで盲信するでしょう。けれども盲信にも盲信の居ずまいというのがありますね。
どうにも、ぼくにはそうやって姿勢よくしている事は出来そうもありません。本音を言えば、恐ろしくもあります。なんだかよく分からないまま生きて行って、気付いたら気付くはずの自分がそもそも不在、という笑えない滑稽の極みに落下しそうで。
大抵ぼくが見る夢は、夜にしても昼にしてもこういう類のものです。まったく、なんてこったの小太郎です。このような言いまわしは、自分のかなしい創作ですから、どうかどなたも気にとめないで下さいね。
地獄以外の餞別があるものなのか、どうなのか。ぼくはいま、チャップリンかまど・みちおさんあたりに訊いてみたい気分です。
冬が、近づいてきます。どなた様も、その祈りに於いてつよくご自愛を。
敬具。
なのであります。
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