音のない声/シホ.N
 


かつて
人の夜は
静寂だった

無音の
冷やかな空気に
包まれる

音を伴わない
声を聴く
動かない静けさの
声を聴く

沈黙に耐えられぬ
饒舌
黙考に耐えられぬ
脳内

夜の果て
明暗入り混じり
日のかわり目の
きしみを聞く


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