詩の日めくり 二〇一四年六月一日─三十一日/田中宏輔
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二〇一四年六月三十日 「愛」
ある種類の愛は終わらない。終わらない種類の愛がある。それは朝の愛であったり、昼の愛であったり、夜の愛であったり、目が覚めているときの愛であったり、眠っているときの愛であったりする。愛が朝となって、ぼくたちを待っていた。愛が昼となって、ぼくたちを待っていた。愛が夜となって、ぼくたちを待っていた。
終わらないことは、とても残酷なことだけれど、ぼくたちは残酷なことが大好きだった。残酷なことが、ぼくたちのことを大好きだったように。愛は、目をさましているあいだも、ぼくたちを見つめていたし、愛は眠っているあいだも、ぼくたちのことを見つめていた。その愛の目は、
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