詩の日めくり 二〇一四年六月一日─三十一日/田中宏輔
 
十四日 「切断喫茶」

 切断喫茶に行った。指を加工してくれて、くるくる回転するようにしてくれた。それで、知らない人とも会話した。回転する向きと、回転する速度と、回転する指の種類で意味を伝えるのだけれど、会話によっては、左手の指ぜんぶを小指にしたり、両手の指ぜんぶを親指にしたりしなければならない。初心者には、人差し指と、中指と、薬指との区別がつかないこともあるのだけれど、回転する指で会話するうちに、すぐに慣れて区別がつくようになる。こんど、駅まえに、首を切断して、くるくる回転するようにしてくれる切断喫茶ができたらしい。ぼくは欲張りだから、二つか三つよけいに、頭をつけてもらいたいと思っている。
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